モノからヒト動詞

 日本語では「(私が)その知らせに驚いた」のように「ヒトがモノに~する」となる表現でも、英語では「モノがヒトを~する」という言い方になるものがあります。

 中学校などでは、「be surprised at ~」で、「~に驚く」などと習った可能性もありますが、やはり「surprise」という動詞の働きをよく理解しておかないと、現在分詞や過去分詞などが出てきたときに混乱することになってしまいます。「surprise」はモノを主語として、「モノがヒトを驚かす」という動詞です。分かりやすく「モノ」と表現していますが、厳密に言えば驚きを与える原因のことで、人がここに来る場合もあります。ただ、「感情の原因を主語として」と説明するより、「モノを主語として」の方が分かりやすいかと思い、そのように表現しています。個人的には、このような動詞を「モノからヒト動詞」と呼んでいます。「から」という方向を感じさせる語を使っているのには、意味があります。

 まずはモノからヒト動詞をいくつかあげてみたいと思います。動詞そのものの意味は「~させる」といった訳になります。

surprise(驚かす)、satisfy(満足させる)、please(喜ばせる)、excite(興奮させる)、interest(興味を持たせる)、disappoint(がっかりさせる)、tire(疲れさせる)、bore(退屈させる)

 形容詞として、interestingを「面白い」、tiredを「疲れている」などと覚えた人もいるかもしれません。

This book is interesting.「この本は面白い」

 これは、興味を持たせる側のモノ(ここでは「本」)について述べるものなので、能動態の現在分詞形になります。

I am tired.「私は疲れている」

 この場合は、疲れさせられた(ちょっとややこしいですが)ヒト(「私」)について述べるものなので、受動態の過去分詞形になります。

 モノからヒトと覚えておけば、モノについて述べる時は能動態(現在分詞)、ヒトについて述べる時は受動態(過去分詞)と出てきやすいのではないでしょうか。

動詞の性質

 文の中には、述語動詞句に現れる動詞と、そうでない動詞とがあることを述べましたが、動詞であるからには、共通の性質を持ちます。それは、それぞれの動詞によって、決まった数の裸の名詞を後ろに取ることができるということです。裸の名詞とは、「名詞について」の項で述べた、「冠詞 / 指示詞 / 所有格 形容詞 名詞」のまとまりのことです。これに前置詞がついていない状態を、裸の名詞と呼んでいます。

1. I walked through the woods alone.「一人で森の中を歩いた」
2. I cut a cake into three equal pieces.「ケーキを三等分した」
3. I gave my brother a few choices. 「弟にいくつかの選択肢を与えた」

 1.は、the woodsという名詞の前にthroughという前置詞がついているので、walkedは裸の名詞をとっていません。2.は、a cakeという裸の名詞1個をcutがとっています。3.は、my brotherとa few choicesという2個の裸の名詞をgaveがとっています。

2′. I made her cut a cake into three equal pieces.
3′. I asked him to give my brother a few choices.

 2′.と3′.では、cutとgiveは定動詞ではありません(それぞれ動詞の原形(不定詞)とto不定詞の形)。しかし、cutは1個の裸の名詞を、giveは2個の裸の名詞を持っています。これが、裸の名詞を後ろに取ることのできる動詞としての性質を持っているということです。

動詞の性質について補足」の記事もご参照ください。

自動詞と他動詞

モノからヒト動詞