英語の受身と日本語の受身

 英語の受身文を理解する上で、日本語の受身文との違いを知っておいた方がよいかもしれないと思い、この記事で説明します。日本語の受身に関する記述の方が長くなりますが、ご了承ください。

 まず、日本語の受身には、(人によって分け方は若干異なるようですが)大きく3種類あります。3種類とは、「直接受身」「間接受身(迷惑受身)」「持ち主の受身」です。

 これらを見てみると、日本語と英語とでは、受身の作り方が違っていることが分かります。日本語の受身は、大雑把に「ある出来事によって何らかの影響を受けたものを主語(ガ格名詞)として述べる文」といえます。受身文にする際、元の文のガ格はニ格となり、受身文のガ格名詞と重なるものは消去されます。

(1) 太郎が花子を殴った → 花子が 太郎に 花子を 殴られた

(2) 太郎が正解を書いた → 花子が 太郎に 正解を書かれた

(3) 太郎が花子の財布を盗んだ → 花子が 太郎に 花子の 財布を盗まれた

 (1)が直接受身、(2)が間接受身、(3)が持ち主の受身です。元の文のどの名詞が消去されるかによって分類されているといえますが、受身文の作り方は一貫しています。

 このうち、直接受身だけが、一見して目的語を主語としているものとなり、英語の受身と重なります。日本語の受身文は、英語の受身文と重ならないものが多いということをまずは押さえておきましょう。

whoseについて

Whose bag is this?
これは誰のカバンですか?

I don’t know whose partner is talking to Jane.
誰のパートナーがジェーンに話しかけているか分からない。

The man whose name I always forget is coming to my party.
名前をいつも忘れてしまう男性がパーティーにやってくる。

 関係代名詞としてのwhoseも、疑問詞としてのwhoseも、myやyourと同じ立場の単語です。myやyourが後ろに名詞を伴って現れるように、whoseも後ろに名詞が必要となります。上の例文では、bag, partner, nameがwhoseとくっついている名詞です。次の文と比較してもらえばわかると思います。

This is my bag.

Her partner is talking to Jane.

I always forget his name.

 whoseを見たら、基本的に次の名詞とセットで考える癖をつけるのがよいでしょう。疑問詞では他に、what color「何色」、how many「どれくらい多く」など、名詞や形容詞とセットで動くものがあります。それらをひとかたまりで把握できるかどうかが大事になってきます。

 さてその上で、関係代名詞のwhoseは、当然ながら名詞の後ろからかかることがポイントです。さらにこのwhose+名詞は、関係節の主語にも目的語にもなり得ます。上の例文では、「I always forget his name」と、forgetの目的語にあたる名詞の前の所有格が関係代名詞となっています。以下の例文では、whose+名詞が関係節の主語にあたる部分になります。

Can you see the house whose roof is red?
赤い屋根の家が見えますか?

 教科書などでよく出てくる例文ですが、「The house’s roof is red」という文の主語に含まれる所有格が関係代名詞となったものです。通常、「the house’s roof」という表現はされず、「the roof of the house」となりますので、この文は「Can you see the house the roof of which is red?」とも書けるそうです(学校では習いました)。ただし、この手の文は、次のように前置詞を使った方がすっきりします。

Can you see the house with the red roof?

 ちなみに、コーパスで少し調べてみたところ、whoseは、いわゆる非制限用法として、「, whose」の形、つまり、「, and his/her等」と同義で用いられることが多いような印象を受けました。

seemを使った構文

 前回のthatの使い方の例で「It seems that ~」の文が出てきましたので、ここでseemを使った構文をまとめておきたいと思います。こちらも例文はインターネットコーパスにあるアガサ・クリスティーの作品からとっています(日本語訳はこちらでつけたものです)。

S seem(s) 形容詞

He seemed very excited and restless.
彼はとても興奮して落ち着かないように見えた。

「Sは(形容詞)のようだ」という文になります。例文では、「restless」は形容詞ですが、「excited」は過去分詞を形容詞として使っている形になります。

S seem(s) 名詞

Her hatred of Inglethorp seems almost a mania.
彼女のイングルソープへの憎しみは、偏執と言っていいほどに見える。

「Sは(名詞)のようだ」という文です。形容詞や名詞がseemに続く場合は、いわゆるbe動詞の文の動詞をseemにすることで「~のようだ」となると思えばよいでしょう。

S seem(s) to 人 形容詞

Miss Howard had always seemed to me so essentially honest.
ミス・ハワードはいつも根っから正直であったように私には見えた。

seemの後にto+人が来た場合、「人にとって」といった意味になります。これはlookなども同じで、「It looks ridiculous to me.」(私にはばかげて見える)のように使えます。

S seem(s) to 動詞

Suddenly he seemed to come to a decision.
突然彼は心を決めたように見えた。

 つぎはto不定詞が続くパターンです。「~するようだ」のように動詞を用いる場合の構文です。ちなみに、seemのあとに形容詞や名詞が直接続く文は、「seem(s) to be 形容詞/名詞」とすることもできます(意味的な違いはほとんどないようです)。

It seems that

It seems that there are many difficulties.
たくさんの困難があるようだ。

 日本語にするときは、that以下を訳してから、「~ようだ」とつける形になります。「It seems he is honest.」(彼は誠実なようだ)は、「He seems (to be) honest.」と書き換えが可能ですが、前者のようにthat節を用いた場合は、より間接的な(例えば話者が「彼」を直接は知らない場合の)表現になるようです。

It seems to 人 that

It seemed to me the man would never go.
私にはその男は決して行かなかったように思える。

「人にとって」を表すto+人が加わった形です。

It seems as though

It seemed as though Tommy’s persistent assurance was at last conquering.
トミーの頑固な確信がついに勝ったように見えた。

「as though」は「as if」と替えても問題ありません。通常、as thoughやas ifはあとに仮定法が来ると習いますが、この構文の場合は仮定法でなくてもよいようです。

It seems 形容詞 that

It seems incredible that a woman like Mrs. Cavendish should interfere so violently in what was certainly not her affair.
カヴェンディッシュ夫人のような女性が彼女に関係のないことにこんなに荒々しく口出しするのは信じ難いことに思える。

 これは、「that節は形容詞のようだ」という意味になります。形容詞の部分には、例文にあるincredibleや、あるいはgoodのような、出来事を評価する言葉が入ります。例文が使用したコーパスの範囲で見つからなかったのであげていませんが、「It seems good to me that ~」のように、to+人を加えることもできます。