自動詞と他動詞

 日本語話者であれば、次の文のカッコの中にどんな助詞を入れるか、迷うことはないと思います。

1a. 花瓶( )割れた。
1b. 花瓶( )割った。

 ここでは、「割れる」と「割る」というよく似た動詞が出てきますが、「割れる」は物自体の変化を表わす動詞、「割る」は物に働きかけて変化させることを表す動詞です。後者で表される、「一方の行為が他方に及び変化を起こさせる」ことを「他動性」と呼びます。他動性にもいろいろな程度がありますが、他動性を持ち、形式的に同じような振る舞いをする動詞をまとめて「他動詞」と呼びます。それ以外の動詞を自動詞といいます。

 日本語の「割る」は他動性を持ち、「AがPを割る」という構文をとります(「ガ格とヲ格をとる」という言い方をします)。日本語では他動性を持つ動詞はヲ格をとるものが多く、その点で形式的に他動詞を判別することがほとんどです(これだけだと言葉足らずですが、詳しくやりだすとキリがないので、今は曖昧なままにしておきます)。そして日本語では、「割れる」と「割る」のように、たいていは自動詞と他動詞が異なる形で現れます。

 英語ではどうでしょう。

 まず、他動性を持つ動詞は、英語ではたいてい直接目的語をとります。要は、前置詞なしで動詞の後に名詞を持ってくることができるのです。そこで英語では、形式的に、直接目的語をとる動詞を他動詞と呼びます。直接目的語をとっても、他動性の低い他動詞はあります。それについては、別途触れたいと思います。

 さて、英語では上記1a, 1bの内容が以下のように表されます。日本語では1bのような他動詞文でも動作主を表さずに言えますが、英語はそうできないので、仮にTomが割ったことにしておきます。

2a. The vase broke.
2b. Tom broke the vase.

 動詞が同じ形で自動詞としても他動詞としても使われていることが分かると思います。

3a. Tom woke up.
3b. Tom woke me up.

 3ではwakeという動詞の過去形が使われていますが、3aは「トムは起きた」、3bは「トムは私を起こした」となります。同じ形の動詞が使われていても、目的語が入るかどうかで意味が変わるということです。このような自動詞にも他動詞にもなる動詞についても別途まとめてみます。

動詞を名詞の形にしたもの

 名詞は主語になることができるものと説明しました。また、動詞は決まった数の裸の名詞を後ろにとることができるということも説明しました。英語には、動詞の性質を持つ名詞があります。つまり、主語になることもでき、後ろに裸の名詞を取ることもできるものです。動名詞と、to不定詞です。

 動名詞は動詞の-ing形です。現在分詞と同じ形です。動名詞と現在分詞はどう違うのか、問題にされることもたまにありますが、主語にできるものは動名詞、それ以外(例えば形容詞や副詞の働きを持つもの)は現在分詞としておけばよいと思います。

 to不定詞にもさまざまな用法があり、名詞として使うことができます。to不定詞の用法の分類も中学や高校の英語で問われることがよくありますが、個人的にはそこにこだわるよりは、to不定詞がどこまでかたまりを形成するかを正しく見ることが大事だと思います。というのは、to不定詞がとる裸の名詞などをto不定詞とまとめて把握することができるかどうかということです。

Playing soccer is fun.
To play soccer is fun.

 上記の例文でも、「playing soccer」「to play soccer」をひとまとまりで捉えることが大切です。

主語名詞句と述語動詞句

 英語の文は、命令文などの例外を除けば、すべて主語名詞句と述語動詞句があります。

 学校では、主語と動詞と習ったかもしれません。しかし、「主語」と「動詞」というのは言葉として釣り合いが取れていません。片方は文中での役割を表しており、もう片方はいわゆる品詞を表しているからです。普通、主語に対しては「述語」が対応するのですが、英語の場合、述語には必ず動詞が現れるので、そこを強調して主語と動詞といっているのだと思われます。

 しかし、文の中には、述語となる動詞と、そうでない動詞と、両方が出てくるものも多くあります。その区別をすることが、英語を理解するためのポイントの一つです。そこで、述語となる動詞を含むまとまりについては、「述語動詞句」とよぼうと思います。ここでは、チョムスキーが言ったVPよりはもっと狭く、助動詞を含む述語動詞の部分のみを表すことにします。そしてそれに対応して、主語といわれるものは「主語名詞句」としておきます。主語という概念については、別ページで触れておきます。その上で、名詞について述語動詞句について、学んでいきたいと思います。