動詞を他の要素として使う

 英語の動詞には、後ろに名詞などを伴う性質があります。その性質を持ったまま、動詞を他の要素として使うことができます。

 他の要素とは、名詞的要素、形容詞的要素、副詞的要素です。動詞を名詞として使えるようにすれば、例えば主語にすることが可能となります。形容詞として使えるようにすれば、名詞を修飾することができるようになります。名詞でも形容詞でもない要素は副詞と呼ばれます。

 動詞の原形(「不定詞」と呼ばれます)の前にtoをつけて「to不定詞」の形にすると、名詞としても、形容詞としても、副詞としても使うことができるようになります。

 また、動詞のing形を名詞として使う場合、「動名詞」といいます。動詞のing形は、現在分詞にもなります。現在分詞は、形容詞、副詞として使うことができます。よって、形の上では、ing形も3つの要素で使うことができることになります。動名詞と現在分詞は、歴史的な成り立ちが違うといわれますが、現在では形に区別がないので、「これは動名詞か現在分詞か?」と問題にするのはあまり意味がないと思います。もちろん、名詞として使われているのか、形容詞として使われているのか、という区別は必要です。

 ちなみに、中学校の時、ラジオの英語講座で、「cooking apple」という言葉を習いました。「料理用のリンゴ」ということで、ややこしいのですがこのcookingは形容詞ではなく動名詞。いわゆる名詞を並べた複合語です。2つの単語で1つの言葉なので、強勢は1カ所(cookingの1音節目)のみです。もし、appleの方にも強勢を置いてしまうと、「料理をしているリンゴ」となってしまうそうです。講座のテキストに、文字通り料理をしているリンゴの絵が描いてあったのを覚えています。このようなケースがあることも一応知っておきましょう。

 最後に、動詞の過去分詞の形は、形容詞的要素と副詞的要素に使えます。

述語動詞句の後にitを含む主述関係が現れる構文

to不定詞や動名詞(ing形)は主語になることができますが、それをitで置き換えてto不定詞や動名詞で始まるフレーズ自体を後ろに持ってくることができます。

It is impossible to fly to the moon on a plane. 
「月まで飛行機で飛んでいくことは不可能だ」

これと同じように、述語動詞の後の主述関係でitが用いられることがあります。

He made it possible to fly to the moon on a plane. 
「彼は月まで飛行機で飛んでいくことを可能にした」

いくつかのパターンを覚えてしまうのがよいと思います。

make it possible to ~ 「~することを可能にする」

think it difficult to ~ 「~することが困難だと思う」

make it a rule to ~ 「~することを習慣にする」

上の2つはitの後が形容詞、最後の1つはitの後が名詞になっていることに注意しましょう。

considerのような動詞では、次のように受身になった文も現れます。

It is considered difficult to fly to the moon on a plane. 
「月まで飛行機で飛んでいくことは難しいと思われている」

少しややこしいですね。「We consider it difficult」が受身になったと考えてみましょう。itの中身のto不定詞が離れたところに出てくるのも難しく感じる要因かもしれません。itを日本語の「それ」だと思っていると、このような文で分からなくなってしまいます。to不定詞や動名詞、あるいはthat節など、名詞の働きをするものを、itで表して文の前の方に持ってくるという英語の感覚をつかんでしまうことが大事だと思います。

能動受動態といわれるもの

「能動受動態」と聞くと非常に難しく感じますが、そんなに頻度の高いものでもなく、説明自体は難しくありません。このような用語で説明される場合が多いのでこれをタイトルにしておきましたが、簡単に言うと、「他動詞として使われることが多い動詞が、物を主語として自動詞として使われる」というものです。「中間構文」と説明されることもあります。

前に、自動詞にも他動詞にもなる動詞のところであげたものは、対応する日本語も自動詞と他動詞が対をなすものがほとんどでした(「割れる」と「割る」、「閉まる」と「閉める」など)。今回の能動受動態で使われる動詞は、対応する日本語も明確な自他の対応を持たないようです。

I read this book easily.

これを「本」を主語にしようとすると、普通は以下のような受身文を考えつくと思います。

This book is read easily (by me).

しかし実は、readを自動詞として使って、

This book reads easily.

と表せるというものです。主語が単数なのでreadがreadsになることに注意しましょう。まさにread単体で「本」という主語と対応していることが分かると思います。

意味は、「この本は簡単に読める」のように、可能の意味合いが入ってきます。その前に出した受身文も、あえてそのまま日本語にしようとしたら「この本は簡単に読まれる」となりますが、やはり可能の意味があるでしょう(可能と受身が英語においても日本語においても近いことは、どこかで触れた気がします)。

もう一つ、能動受動態を持つ動詞としてよく出てくるものをあげておきます。

They sell this book well.

This book is sold well (by them).

This book sells well.

3番目のものが自動詞として使っているものです。この2番目の受身文と3番目の自動詞文との違いは、受身文では売っている人が意識され、自動詞文だと売っている人は意識されず、本自体の魅力によって売れている感じになることだそうです。

他動詞として見慣れた動詞でも、物が主語として出てきたときに、どうも他動詞的に訳しづらければ(あるいは目的語に当たるものが見つからなければ)、このような用法が英語にあることを思い出してみてください。