英語の相について

 言語学では、動作などの時間的局面をとらえて文法的に表されたものを、相(アスペクト)とよびます。ある動作が今も継続しているのか、すでに終わっているのか、といったことをどのような形で表すのか、という話です。

 英語で相を表すのが、中学校などで習った「進行形」と「完了形」です。これらは相を表すものなので、時制とは独立しています。「述語動詞句の形」では、時制と組み合わせて説明していますが、相と時制は別物と理解するのがよいと思います。

 進行形が進行相(現在、動作が進行している)、完了形が完了相(動作がすでに完了している)を表す、と単純に説明できればいいのですが、案外そうもいきません。動詞が持つ意味との組み合わせなどにより、さまざまな相を表します。

 ちょうど、日本語でも、「~ている」の形がいろいろな意味を持つことを考えていただけばよいと思います。

「彼は今、手紙を書いている」(継続相)
「パソコンが壊れている」(結果相)

 日本語の「~ている」が英語の進行形だ、などと短絡的に覚えてしまうと、2番目の文などはうまく英語に訳せません。形と意味と、必ずしも1対1には対応しないところをきちんと理解していくのが大切だと思います。

 まずは進行形の意味するところから見ていく予定です。

動詞を他の要素として使う

 英語の動詞には、後ろに名詞などを伴う性質があります。その性質を持ったまま、動詞を他の要素として使うことができます。

 他の要素とは、名詞的要素、形容詞的要素、副詞的要素です。動詞を名詞として使えるようにすれば、例えば主語にすることが可能となります。形容詞として使えるようにすれば、名詞を修飾することができるようになります。名詞でも形容詞でもない要素は副詞と呼ばれます。

 動詞の原形(「不定詞」と呼ばれます)の前にtoをつけて「to不定詞」の形にすると、名詞としても、形容詞としても、副詞としても使うことができるようになります。

 また、動詞のing形を名詞として使う場合、「動名詞」といいます。動詞のing形は、現在分詞にもなります。現在分詞は、形容詞、副詞として使うことができます。よって、形の上では、ing形も3つの要素で使うことができることになります。動名詞と現在分詞は、歴史的な成り立ちが違うといわれますが、現在では形に区別がないので、「これは動名詞か現在分詞か?」と問題にするのはあまり意味がないと思います。もちろん、名詞として使われているのか、形容詞として使われているのか、という区別は必要です。

 ちなみに、中学校の時、ラジオの英語講座で、「cooking apple」という言葉を習いました。「料理用のリンゴ」ということで、ややこしいのですがこのcookingは形容詞ではなく動名詞。いわゆる名詞を並べた複合語です。2つの単語で1つの言葉なので、強勢は1カ所(cookingの1音節目)のみです。もし、appleの方にも強勢を置いてしまうと、「料理をしているリンゴ」となってしまうそうです。講座のテキストに、文字通り料理をしているリンゴの絵が描いてあったのを覚えています。このようなケースがあることも一応知っておきましょう。

 最後に、動詞の過去分詞の形は、形容詞的要素と副詞的要素に使えます。