seemを使った構文

 前回のthatの使い方の例で「It seems that ~」の文が出てきましたので、ここでseemを使った構文をまとめておきたいと思います。こちらも例文はインターネットコーパスにあるアガサ・クリスティーの作品からとっています(日本語訳はこちらでつけたものです)。

S seem(s) 形容詞

He seemed very excited and restless.
彼はとても興奮して落ち着かないように見えた。

「Sは(形容詞)のようだ」という文になります。例文では、「restless」は形容詞ですが、「excited」は過去分詞を形容詞として使っている形になります。

S seem(s) 名詞

Her hatred of Inglethorp seems almost a mania.
彼女のイングルソープへの憎しみは、偏執と言っていいほどに見える。

「Sは(名詞)のようだ」という文です。形容詞や名詞がseemに続く場合は、いわゆるbe動詞の文の動詞をseemにすることで「~のようだ」となると思えばよいでしょう。

S seem(s) to 人 形容詞

Miss Howard had always seemed to me so essentially honest.
ミス・ハワードはいつも根っから正直であったように私には見えた。

seemの後にto+人が来た場合、「人にとって」といった意味になります。これはlookなども同じで、「It looks ridiculous to me.」(私にはばかげて見える)のように使えます。

S seem(s) to 動詞

Suddenly he seemed to come to a decision.
突然彼は心を決めたように見えた。

 つぎはto不定詞が続くパターンです。「~するようだ」のように動詞を用いる場合の構文です。ちなみに、seemのあとに形容詞や名詞が直接続く文は、「seem(s) to be 形容詞/名詞」とすることもできます(意味的な違いはほとんどないようです)。

It seems that

It seems that there are many difficulties.
たくさんの困難があるようだ。

 日本語にするときは、that以下を訳してから、「~ようだ」とつける形になります。「It seems he is honest.」(彼は誠実なようだ)は、「He seems (to be) honest.」と書き換えが可能ですが、前者のようにthat節を用いた場合は、より間接的な(例えば話者が「彼」を直接は知らない場合の)表現になるようです。

It seems to 人 that

It seemed to me the man would never go.
私にはその男は決して行かなかったように思える。

「人にとって」を表すto+人が加わった形です。

It seems as though

It seemed as though Tommy’s persistent assurance was at last conquering.
トミーの頑固な確信がついに勝ったように見えた。

「as though」は「as if」と替えても問題ありません。通常、as thoughやas ifはあとに仮定法が来ると習いますが、この構文の場合は仮定法でなくてもよいようです。

It seems 形容詞 that

It seems incredible that a woman like Mrs. Cavendish should interfere so violently in what was certainly not her affair.
カヴェンディッシュ夫人のような女性が彼女に関係のないことにこんなに荒々しく口出しするのは信じ難いことに思える。

 これは、「that節は形容詞のようだ」という意味になります。形容詞の部分には、例文にあるincredibleや、あるいはgoodのような、出来事を評価する言葉が入ります。例文が使用したコーパスの範囲で見つからなかったのであげていませんが、「It seems good to me that ~」のように、to+人を加えることもできます。

thatの使い方

 ここで、thatの用法について少しまとめてみたいと思います。文法構造が分からないと正しく訳せない場合もありますので、教科書的に文法上の役割別にみていきます。

 例文は、アガサ・クリスティの小説から取っています。採取にはインターネット上のコーパスを利用しました。

関係代名詞

名詞を後ろから説明するパターンです。

Is this the key that was lost?
これがなくなった鍵ですか?

 Thatの前が名詞ですから、関係代名詞か、同格かを考えます。Thatの後はwasという動詞になっています。こういう場合はほぼ関係代名詞に決まりです。Headのthe keyは、wasの主語に当たります。

He drew from his pocket the key that he had found in the lock of the despatch-case upstairs.
彼は2階の書類箱の鍵穴で見つけた鍵をポケットから取り出した。

 これもthatの前は名詞ですから、関係代名詞か同格かを考えます。Thatの次にhe had foundと続きます。ここで、foundという動詞を見ると、後ろに裸の名詞がありません。そこで、thatの前のthe keyがもともとfoundの後ろにあったと考えると、「鍵を見つけた」という文が成立します。よってこのthatは関係代名詞で、「見つけた鍵」と訳せばよいことになります。

同格

 関係代名詞と同じく、名詞を後ろから説明します。

In the same way, we have his statement that he put the coffee down in the hall.
同じように、我々は彼がホールにコーヒーを置いたという証言を得ている。

 Thatの前が名詞なので、関係代名詞か同格かを考えますが、thatの後に出てくるputという動詞は、heという動作主と、the coffeeという対象物を持っている上に、his statementとのつながりはありませんから、同格になります。 関係代名詞と同格の違いは、thatの前の名詞が、thatの後の動詞の後ろに来るべきかどうかで分かれます。名詞の後ろに来るto不定詞の場合も似たようなことがありました。こういったことを並行的に捉えられるようになると英語の仕組みがより見えてくるでしょう。

名詞節

 thatで導かれる節が裸の名詞と同じ働きをするものです。

You did not understand that he believed Mademoiselle Cynthia guilty of the crime?
あなたは、彼がマドモワゼル・シンシアが犯罪を犯したと信じていたことが分かりませんでしたか?

 that節が、動詞understandの項になっています。「~ということ」を表す名詞節になります。

 ちなみにthat節の中は、He believed Mademoiselle Cynthia guilty of the crime.となります。定動詞の後ろに裸の名詞と形容詞が来るパターンです。このbelieveは、that節を項として持つことができますので、He believed that Mademoiselle Cynthia was guilty of the crime.という表現も可能です。ただしそうなるとthat節の中にthat節という構造になってしまうため、分かりにくくなってしまうでしょう。

I could see by the expression of his face that he fully appreciated the difficulty of the position.
私は彼の表情から、彼が難しい立場に置かれているのを有り難がっていると分かった。

 ここでは、thatの前がhis faceとなっているので、関係代名詞、もしくは同格と考えてしまいたいのですが、実はよく見るとby the expression of his faceは括弧にくくることができ、seeに対象物の項がないことから、thatがseeの項になっていることが分かります。これは、「~ということ」を 表す名詞節です。

形容詞の理由説明

I think every one was a little surprised that it should be he and not one of the official detectives who took the initiative.
主導権を握っているのが、警察の者ではなく彼であることに、みんな少し驚いたように思う。

 例文が少し難しくて恐縮です。「驚いた」(ちなみにこれも<物→人>動詞です)理由の説明がthat以下でされるのですが、そのthatの中身がさらに強調構文になっています。この文では、その強調構文の部分はthatではなくwhoが使われています。

so-that構文

We must be so intelligent that he does not suspect us of being intelligent at all.
私たちは、私たちが賢いと彼がまったく疑わないくらい、賢くなくてはならない。

 前の「形容詞の理由説明」のthatと同じと考えてもよいと思うのですが、so-that構文というのはよく出てきますので、あげておきました。この例文くらいsoとthatが近ければ、見分けるのは難しくないかと思います。

It seems 形容詞 thatの構文

It seems to me quite likely that he entrusted the papers to this girl.
彼が書類をこの少女に預けたことは、きわめてあり得ると私には思える。

 この構文は、that以下の部分が形容詞のようだ、という意味になります。最初のitが仮主語で、その中身がthat以下という説明になると思いますが、この構文の形で覚えてしまった方が早いのではないでしょうか。このようなseemを使った構文については、あらためて取り上げたいと思います。→seemを使った構文